ソウル-もうひとつの光景-
ソウル駅(地下鉄の方)の11番出口のほうにBOOK OFFがある。
そこはソウル駅の後ろ側に位置することになるのだろうか、オフィスビルが立ち並んでいる。 日曜日の昼間ということもあり、人通りはまばらだった。 平日は会社員たちで忙しく行き来しているのだろうなあと予想できる街並み。 BOOK OFFをのぞいた後、昼食をとることにした。 でも、オフィスビルということもあり、食堂が見当たらない。 BOOK OFFの入っているビルの裏手のほうへぶらぶらと歩いてみる。 するとビルの谷間にポコッと昔ながらの横丁っぽい雰囲気の一角を見つけた。 急ぎ足で食堂はないか駆け寄った。 狭い路地に入って、一軒の小さい食堂が目に入った。 テーブルが三つ、窮屈そうに並んでいるその食堂は、まさしく「おばあちゃんの食堂」。 小汚い感じがなかなか私の触覚をくすぐる。 しかし、その日は私一人ではなく友人もいた。 やっぱりこういう食堂に連れて入っちゃいけないかなあとちょっと悩み 「やっぱり やめようか」 と引き返そうと5.6歩歩き進んだその瞬間 「アガッシー、アガッシー」と私たちを呼び止める声。 ここで、「アガッシー、アガッシー」と呼ばれて足をとめたのは、私たち以外に誰もいなかったからだ。 振り向くと、一人のおじちゃんがこう言った。 「なんで入んないの?この店、この町内で一番うまい店だぜい。入りなよー」 このおじちゃんの言葉で、即決。 「こんにちはー」 壁に長年貼ってあるメニューの紙は色あせてたけど、漂っているおいしい匂いはおじちゃんの言葉通りを予感させた。 スンドゥブチゲを注文。いっしょについてくるおかずも8種類あって、ひとひとつおばあちゃんの手作りの味だった。 お値段は3000ウォン。 私たちが食べてる間、店主であるおばあちゃんは、テレビののど自慢を見ながらいっしょに歌ってた。 私たちが食べ終わろうというとき、町内の常連さんらしきおじちゃんたちがぞくぞく入ってきて、あっという間に店は満員。 狭い店に幸せな空気が流れた。 ソウルにもこんな町があって、昔の人たちがありのままで住んでることがわかってうれしかった。 おなかいっぱいで店を出て、5.6歩進んだところで、また「アガッシー」の声。 今度は迷わず一度目で振り向いた。 あのおじちゃんが、知り合いらしき人と話しこんでいたらしい。 おじ「うまかっただろう」 私「はい、ほんとにおいしかったっす。おしえてくださってありがとうっす。」 おじちゃん、うれしそうだった。 私も「アガッシー」と呼ばれて、もとい、おじさんのうれしそうな顔を見てうれしかった。 ソウルの人情横丁は、ソウル駅の近所にありました。
by haomui
| 2007-02-07 14:52
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